第3章 特別演練
何もかもが違う。
審神者の性別、年齢、人となりは言わずもがな、本丸の規模、鶯丸自身の顕現の経緯。
審神者に見せてもらった審神者用デバイスでは、鶯丸の練度はまだ一桁。
初期に顕現された鶯丸は90台のはずだった。
まさか自分の練度を忘れ、誤るなど。
細かいことは気にするな、とよく言っているが、さすがにこれを「細かいこと」だと流してはまずいだろう。
「俺は顕現されて一年ほど経っているはずだが」
だめだ。
冗談としか受け取ってもらえないだろう。それか、そういう“キャラ付け”かと言われてしまいそうだ。
「あの審神者は俺の主ではないと思うのだが」
だめだ。
彼を慕う男士たちに袋叩きにされてしまう。特に長谷部。というかその前に、あの審神者が泣き出してしまいそうだ。
「審神者が変わったのはいつだ?」
だめだ。
変わってないし、記憶が混濁してるんじゃない? それとも俺の主に文句あるって意味?
などと加州に詰め寄られる未来が見えた。