第2章 みんなのいない朝
言われるがままあの静かすぎる広間に戻ったが、そのあとのことはよく覚えていない。
なんとか出陣と遠征、内番などを割り振り、自室に戻る。
『ぼくたちはしょくじをひつようとしません』
今剣の言葉が耳の奥で残響する。
第一次焼きおにぎり戦争では、身軽さとすばしっこさを遺憾なく発揮し、あの小さい体にどんだけ入るんだよ! とつっこみたくなるような量の戦利品(焼きおにぎり)をほおばっていた今剣。
BBQをしたときは、三条派の惨状(焼きすぎ)の中、八面六腑の活躍を見せ、見事三条派と三条派に焼いたものを奪われそうになっていた他派を救ってみせた今剣。
その今剣が、食事は不要、だなんて。
彼に何が起こったのか、全くわからなかった。
「今は頭を切り替えないと」
出陣した男士たちの情報がディスプレイに送られてきた。
いつものように指示を出していくが、しばらくして違和感を覚え始めた。
今出陣している男士は、隊長の獅子王、一期一振、蜂須賀虎徹、鳴狐、鯰尾藤四郎、宗三左文字だが、なんというか、うまく連携がとれていないのだ。
いつもであれば、刀派は異なっていても共同生活の長い彼らの、息の合った戦闘がみられる。
けれど今は、“ぎこちない”と表現するような動きだ。
昨晩なにかあったのだろうか。
などと考えていると、敵の槍が鯰尾に軽傷を負わせた。
この槍は審神者界隈では“高速槍”などと呼ばれていて、MAX長谷部の機動でも手に負えない、厄介な敵である。
またこいつは、と内心舌打ちしていると、ある異変に気づいた。