第14章 ゲームチェンジャーと玻璃の核
後ろを振り返り、鶯丸を見る。目が合った。鶯丸は、じっと、私の言葉を聞いてくれている。
私は“鶯丸”に向き直る。
「誰があなたを核にしたの? 黒幕は誰? 誰の指示で動いているの?」
彼は、なおも沈黙を続けた。柄を握る手から、わずかに力が抜けたように見える。
実験やらリサイクルやら、一介の審神者の仕業とは思えない。
背後にもっと大きななにかがある。
そうすると、“鶯丸”の主はどうなっているのだろうか。
私には漠然とした、ある予感があった。
「崩壊は止められないって言ってたよね? ねぇ、もしかしてあなたは崩壊を望んでるんじゃないの?
……だから、核として折られようとしているの?」
“鶯丸”の瞳が、わずかに見開く。
本丸のみんなに違和感を持ち始めた最初の頃。
彼は、砂上の楼閣だの、崩壊が止められないだのと言っていた。今もその言葉の意味はわからない。
けれど、それを呟く“鶯丸”は、崩壊に抗わないのだろうなと思った。
だから――
「私の鶯丸にそんなことさせないで」
一歩、“鶯丸”に歩み寄る。
完全に射程圏内に入ったが、不思議と恐怖はなかった。
むしろ、怒りが湧き上がってくるのを感じていた。
鶯丸に彼自身を斬らせるようなこと、絶対にさせたくなかった。
舞台から降りる勇気がないから、誰かに背中から突き落としてもらおうなんて卑怯だ。
突き落としたその人は、ずっとその手の感覚を背負わなければならないのに。