第14章 ゲームチェンジャーと玻璃の核
「……主をつくりかえるものに対抗するには、刀剣の霊力が有効なんだな?」
言葉を失っている私のとなりで、鶯丸が尋ねた。動じるどころか、それは尋問じみた口調だった。
『鶴丸のジャミングがとけたら、彼女は彼女ではなくなる』
“鶯丸”はそう言った。
私をつくりかえようとする何かを、鶴丸は自身の霊力を私に注ぎ込むことによって、妨害した。消えるその一瞬の前に。
最後の力を、振り絞って。
身体を巡る鶴丸の霊力をまだ感じることができる。かすかにひんやりするような、一枚の羽のように、繊細で白い霊力を。
つくりかえる、とはどういう意味かわからない。でもそれを鶴丸が妨害したというなら、そうなのだろうと思った。だって鶴丸の霊力がなければ、私は思い出していなかっただろうから。
「そうか。なら――」
鶯丸の瞳は、ただ前を見据えていた。刀を構えたまま、平然と言葉を続ける。
「お前を殺し、追手を退ける。そして主が主でいられるように、終わりのときまで俺の霊力を注ぎ続けよう」
鶯丸の双眸が、す、と細まった。
「いくらでもな」
その奥には、確かな殺意の火が揺らめいていた。
脅しでもなんでもない。本気だ。
倒すとかそういうのでなくて、核であるから明確に『殺す』つもりだ――
「だめっ!!」
とっさに鶯丸の前に飛び出る。
今にも交わりそうな刃の間に。
“鶯丸”の、目の前に。