第14章 ゲームチェンジャーと玻璃の核
わけがわからないまま、私の持っていた湯のみを
、、、、、、、
はたき落とした鶯丸に、視線を移す。
鶯丸の表情は硬く、温度がなかった。瞳はわずかに見開き、瞳孔が小さく震えている。
口は真一文字に結ばれ、目線は私でなく、目の前の虚空に縫い付けられていた。
手をはたかれたわけではなかったが、湯のみが吹っ飛ばされるときに、湯のみが受けた衝撃も手に伝わったのだろう。
持っていた方の手が、少しびりびりとしていた。
「ど、どうしたの……?」
突然の行動に理解が追いつかず、そう尋ねることしかできない。
鶯丸は硬直したように動かなかった。
数分もの沈黙が訪れた気がしたが、ほんの数秒だったかもしれない。
やがて、鶯丸がその重たい口を開き、
「これはもう飲むな」
とだけ、言った。
有無を言わさぬ声色だった。普段の穏やかな口調に似ても似つかない、命令にも等しい言い方に戸惑う。
……これは、ほかでもない、鶯丸自身が淹れてくれたお茶なのに。
「どういうこと――?」
呼び止める声も聞かず、鶯丸は立ち上がり私に背を向けた。
歩き去る彼の背中が、どんどん遠くなっていく。
空っぽになった湯のみとともに、私は一人取り残された。