第14章 ゲームチェンジャーと玻璃の核
彼は最近、よく茶を淹れてくれる。
淹れ方が違うのか、鶯丸が淹れてくれる茶は美味しい。やっぱり蒸したりするのが大事なんだろうか。
キッチンに着き、鶯丸はいつものように準備をし始めた。
「主はゆっくりしててくれ」
と座らされた私は、手際よく作業する鶯丸を眺めていた。
てきぱきと、しかしせわしなさが一切ない動きで、あっという間においしそうなお茶が目の前に出される。
湯のみから立ち昇る湯気が、新緑を思わせる香りをふりまいていた。和菓子がよく合いそうだ。
「さっきの縁側で飲まないか」
「いいね、行こう」
さっきまで鶯丸が座っていた縁側に戻り、腰を下ろす。
隣に座ってきた鶯丸にいただきますと言って、湯のみを口に運んだ。たちまち緑茶の複雑な甘さが口の中に広がる。無意識にほう、と息を吐いてしまうような、心地の良い脱力感が肩にもたれかかる。
やっぱり、自分で淹れるより美味しい。
「どうして同じ茶葉なのにこんなに違うんだろう」
「違うって、なにがだ?」
「なんかね、鶯丸が淹れてくれた方がすごく美味しいんだ」
「……そうか?」
「うん。優しい味がするの」
「……」
何が起きたのか、一瞬わからなかった。
縁側にごろんと湯のみが転がっている。中に満ちていたお茶はほとんど零れ、縁側や地面を濡らしていた。湯のみの縁から、薄緑色の液体が滴り落ちる。
「え……」