第14章 ゲームチェンジャーと玻璃の核
時々、鶯丸が本丸のどこにもいないときがある。
出陣でも、遠征でも、内番でもないのに、本丸にいない。鶯丸のことだから、うまくどこかでサボっているのだろうけど。
「ん……余り?」
近々新しい刀剣男士が配属されるということで、本丸の備品を見て回っていたが、食器、浴衣、靴などがなぜかちょっと多い。
短刀、脇差、太刀が一振り分ずつ多かった。原因はよくわからないが、ひとまず新しい備品要求はしなくてよさそうか。
仕事が一息ついたので、私はお茶を淹れようとキッチンへ向かった。
鶯丸からもらったお茶を飲み始めたことで、なんだか体の調子がいい。宵になっても霊力が切れず、コントロールにもより集中できるようになった。夜もぐっすり眠れている。
鶯丸をすごく怖い思ったことがあった気がしたが、あれはなんでだったっけ……。
廊下を歩いていると、鶯丸を見つけた。
特等席なのか、いつも庭の木に面した縁側に座っている。黙って空を見上げる横顔は、憂いを帯びているようにも見えた。穏やかな風に、さらさらと髪を揺らしている。
廊下を歩いてくる私に気づいたのか、鶯丸がこちらに顔を向けた。
目が合うと、何を考えているのかわからない目と口元が、フッと微笑を帯びる。
「茶の時間か、主」
「うん。鶯丸おすすめのお茶、なんかすっごい効くの! 全然疲れないんだ」
「そうか……せっかくだ、俺が淹れよう」
「ありがとう。すっかりお茶当番ね」
「主にだけさ」
なんでもないことのように言いつつ、鶯丸が腰を上げた。