第13章 前哨戦
わけがわからない鶯丸と前田を意に介さず、女は淀みなく喋った。
二人に視線もくれず、高速タイピングを続ける。
「時間がない。速やかに被験者を確保し、来たゲートで戻ってきて。行き先は我々のセーフゾーンに設定してある。ゲートが破壊された場合、持ってるデバイスで戻れるように設定した。ただしこれは最終手段。一度きりよ」
「先輩、結界終わりました!」
「よくやった! さぁ山姥切国広、“あなたの主がいる本丸”の座標はこれで正しい?」
女はそう言って山姥切に画面を指し示す。
突然話を振られた山姥切は、彼女の言葉と、画面に並ぶ数字に動揺した。
「さっきあなたが入力していたログから拾ったの。我々は座標を知らないから。これで間違いない?」
「――あ、あぁ、間違いない」
戸惑いつつも、山姥切は頷く。
“あなたの主がいる本丸”
彼女はそう言った。
それはつまり、あの座標は、“主”がいる場所だということだ。
、、、、、
「これは拠点防衛戦。我々が時間を稼ぐ内に、主を奪還せよ」