第13章 前哨戦
何が起きているのか全くわからない。
硬直したままの体は、いくらか違った意味で動かせなかった。
そんな気持ちを代弁してくれたのか、前田が困惑極まるといった声音で、恐る恐る女性に話しかける。
「あ、あの――」
そのとき、突如としてディスプレイが息を吹き返した。
機器のところどころに、運転中を示すであろう光が灯り始める。ディスプレイが真っ青に光ったかと思えば、白文字が次々と現れていった。全く目で追えないスピードで画面がスクロールされていく。
女のタイピングがさらに早くなっていくように聞こえたが、女は画面に目を釘付けたまま話し始めた。
「今秘匿回線に繋ぎ直したから、ゲートによる往来は向こうの本丸には感知されない。ったく危なかったわ、緊急シャットダウンしなけりゃ奴らにバレるとこだった」
「は、は……?」
「おそらく向こうの本丸は深夜2時頃。徘徊している男士がいるだろうけど、こっちが攻撃しない限り何もしてこない」
「ちょっと待ってくれ、最初から説明――」
「してる時間なんてない。よく聞いて。はじめは攻撃してこないだろうけど、被験者を連れだそうとしたり、攻撃のコマンドが実行されたりすれば、全員が殺しにかかってくる。そのときは躊躇せず戦って。
彼らは“なかま”じゃない」