第13章 前哨戦
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「急ぎましょう!」
階段を下り、長く暗い、おまけに幅も人一人しか通れないだろう狭い通路を速足で抜けていく。夜目がきく前田は、迷いのない足取りだ。前方に見える光を目指していくと、とうとう光の中に行き着いた。
視界が開ける。
さっきまでとは違って、室内は明るかった。ただ、ここも青白い光なので、寒々しく無機質な印象だ。
部屋の大きさは階上と比べるとコンパクトだったが、ここにも機械があった。同じようにケースもあるが、サイズが大きい。その中には、
「……!」
顕現された状態の男士が収められていた。
短刀、太刀、打刀、統一性はない。
みな一様に、眠るように目を閉じていた。さっきの場所が刀剣の展示場なら、ここは等身大の人形の展示場だ。
気味が悪かった。
道具扱いなのか、人扱いなのか。
保管室というくらいだから、あれだけの刀剣が収められていることは不思議ではなかった。
だが、上では顕現を解いた状態で、ここ、下では顕現を解かないまま刀剣を保管している。その違いはなんだ?
結界が張られていたことと言い、どう考えても顕現を解けない、いわくつきの刀剣たちの保管場所としか思えない。
そんな場所に置かれている山姥切国広は、果たして無事と言えるのだろうか?
ちょうど目の前現れた山姥切国広を前に、鶯丸は心の中でひとりごちる。