第13章 前哨戦
「俺は大丈夫だよ。それより……核を壊したら多分、セキュリティシステムが作動しちまう」
「! ……そう、ですよね」
「こんだけ何重にもロックしてりゃ、システムも連動してるはずだ。ちょっと細工はしてきたが、そこまで時間は稼げねぇ。破壊したらすぐ下に行け」
「はい、すぐに」
「もし目当てのもんが見つからなくても、お前たち2人だけで教えた裏口から逃げろよ」
「……はい」
重苦しい声で、前田が返事をした。
俺のことは気にするな、そう気遣ってくれているのだろう。
それだけではない。
ここに留まる時間が長引くほど、既に火がつけられた導火線はどんどん短くなっていく。何があっても、爆発して全員を巻き込む前に逃げろと、そう言っているのだ。
和泉守の横顔が、さっきよりも険しい表情に見えた。
“失敗”できない理由を、また一つ認識する。
「……このあたりだ」
とうとう、和泉守の足が止まった。
それは、あるケースの前だった。大きさは太刀くらいだろうか。あまり見かけない刀剣だった。
和泉守がケースの下部にあるスイッチを押すと、ウィーンと静かな音を立ててケースが開く。露わになった刀身が、薄明かりを鈍く反射した。
前田の審神者は、核の形状は御札や宝玉だろうと言っていたが、それらしきものはない。
……まさか、この刀剣が核だとでも?
これを破壊しなければ、山姥切の元へ行けない?
「壊せ」