第13章 前哨戦
それをどうにか脇に置いていると、和泉守がごそごそと懐を漁っているのが目に入った。
「おっ……と、あった! こいつの出番だな!」
意気揚々と彼が取り出したのは、珍妙な小物だった。
手のひらサイズの四角い箱に、2本の細い棒がついている。棒は、虫の触覚を思わせる見た目だ。箱にはボタンや小さな画面がついている。
「装備部から拝借してきたんだ。ダウジングって知ってるか?」
そう問われて、前田と顔を見合わせる。
前田もキョトンとした顔で、和泉守の言ったことがわからないようだった。
和泉守はニッと笑みを見せて、箱のボタンを操作し始める。階段に近づいて箱を鎖に近づけると、箱からカシャッと音がした。彼は鎖から箱を離し、小さな画面を食い入るように見つめる。
手早くボタン操作をして、
「……よーし、これでいいだろう。この棒の方向に核あり、だ!」
そんなことを言ってきた。
その言葉に呼応するように、棒がひとりでにフラフラと揺れ始める。和泉守もそれに合わせるように、蛇行を始めた。
棒の動きについていけば、核にたどり着けるということだろうか? わけがわからないまま、和泉守の後を着いていく。
「拝借してきたって、大丈夫なのでしょうか……」
前田はそっちの方が心配らしい。政府の備品を無断で借用中、ということなのだろう。
確かに大丈夫なのか? にしても妙なシロモノが政府にはあるものだ。
そんな前田を振り向きもせず、和泉守が口を開く。