第12章 侵入作戦
日付けは28日目が最後だった。次のページからは、専門用語が飛び交う難読ページが始まっていた。
「……」
自分が今しがた読んだものが理解できず、しばらく呆然と立ち尽くす。
嫌な予感がして、異なる番号の冊子を引っ張り出した。パーっとめくっていくと、また同じような「〇日目」から始まる記録が見つかった。
最初の方は審神者の霊力の適応具合の話から始まり、“漏出”やら“乖離”やら似たような話が続く。
それから、L-〇〇〇とナンバリングされた薬が投与されたり、刀剣が暴れたりしている描写があり、
『18日目
……死因は外傷による出血性ショック。該当刀剣については別添報告書乙のとおり。
該当刀剣については、再初期化処理を施しても一部記憶の復元が見られ、数日で加害行為に及ぶため、やむを得ず刀解。……』
最後は、被験者の死亡報告で終わっていた。
この被験者は、刀剣に斬られたために死亡したらしい。再初期化処理とはなんだろうか。いずれにしても最終的に、加害者となる刀剣は刀解されたようだ。
主たる審神者を攻撃し、死亡させた刀剣は刀解されると聞く。ブラック本丸でもそうだ。たとえ、凶行に走らせた最初の原因が審神者側にあったとしても、例外ではない。
これはブラック本丸の記録なのだろうか?
L.O.計画とタイトルがついているので、このL.O.計画とやらの記録だろう。
しかし肝心のL.O.計画についての記載がどこにもない。手にした綴りには、今読んだような日記と、難解な専門用語だらけの報告書だけ。
ふと、恐ろしい考えが頭をよぎる。
鶯丸は本棚に手を伸ばし、他の番号の綴りを次々と手に取った。震えそうな指先でページをめくり続ける。目的のページにたどり着き、そこに踊る文字に息をのむ。
『7日目
……死因は頸部圧迫による窒息死。素因の呼吸器系の疾患が影響。該当刀剣については別添報告書甲のとおり。
該当刀剣については、再初期化処理を実施。波長も安定しており予後良好。次回試行時に配属可と思料される。……』