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【刀剣乱舞】ラプラスの演算子

第12章 侵入作戦


 保管室は階段の方向だ。話し相手がまだ残っているであろう部屋の前を通り、職員が通ったばかりの階段を降りなければならない。この部屋だって、安全とは全然限らないのだ。

 かぶりを振って、室内を見回す。金属製のラックが延々と立ち並び、ところ狭しと冊子が収められていた。倉庫、いや資料室だろうか。けっこうな広さだ。ほこりっぽい空気の中、人の気配はない。慎重に足を踏み出す。

 ここら一帯はすでに関係者以外立入禁止区域だ。おそらく並んでいる綴りはどれも機密情報だろう。

 ラックの間をゆっくりと歩きながら、背表紙を読んでいく。



『○○年度 監査復命書①』

『○○年度 特命調査処理台帳①』

『一般通達 廃止済綴』



 どれも機密性が高そうな名前だった。見慣れない名前ばかりだったが、

『L.O.計画』

この冊子が、ふと目を引いた。

 直近で何度も出し入れされたのか、背表紙のてっぺんがややめくれ上がっていた。同じタイトルの冊子が番号を異にして何冊もある。

 なんとなくそのひとつを手に取ってみた。幅3センチくらいの綴りだ。表紙に“L.O.計画”というタイトルが書かれ、その右上に「部外秘」と赤い判子が押されている。

 開くと、視界いっぱいが文字で埋め尽くされた。専門用語ばかりのページを開いてしまったらしい。パラパラとめくりながら流し読みする。どうやら、ある本丸の記録のようだ。



『1日目
 ……以上のとおり、被験者は錯乱を起こすことなく日課を完了。
 霊力の適応については順調であり、特段の問題なし。……』



『3日目
 ……今までの被験者の中で、順応するまでの日数が最も短い。霊力の乖離、漏出も見られず、刀剣を十二分に使役できている。
 コミュニケーション面で混乱が生じているが、被験者の性格的素因により、意思疎通に特段の問題は見られない。なお刀剣間についても同様。……』



『6日目
 ……被験者が刀剣四〇三との記憶の齟齬を起こすも、“回転不変”が対処。被験者に対するLー581の投与は見合わせ。
 夜間徘徊を行う刀剣について、現在2振り。被験者への加害行為は見られず。
 広間南カメラが霊的破損。午後11時29分から翌午前3時21分までのデータは復元不能。解析の結果、夜間徘徊を行っていた刀剣六八一によるものと推定。……』
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