第12章 侵入作戦
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「なんの騒ぎだ?」
「紛失よ紛失っ! 一昨日受付の12号様式の数が合わないらしいの!」
「マジ!? 総務課また漏洩じゃねえか!」
「今月3件目ですか……しかもこのままいけば公表事案と」
「受付に来てるその本丸のへし切さんがもうヤバイくらい錯乱発狂してて大騒ぎよ!
見つからないなら切腹せんばかりの勢い!
大泣きしてる短刀もいるしもうめちゃくちゃよ! 総務課全員で捜索にあたってるからあんたたちも早く来て!
見つかるまで帰れないから!!」
「げぇっ! いろいろカンベンしてくれ!」
「そろそろ僕、残業時間の上限なんですがね……」
バタバタと足早に3人の職員が去っていく。足音はエレベーターや階段の向こうに消えていき、あたりはあっといういう間に静かになった。
『お役所は情報漏洩をもの凄く嫌います。書類の誤送付や紛失ですね。ひとたび漏洩を起こしたら、ほうぼうに謝り、マスコミ発表しないといけなくなります。ですから、漏洩騒ぎになれば、総出で処理にあたるでしょう。
そこで、私が前もって、数が合わなくなるよう仕掛けをした書類を提出します。そして研修日、その書類について問い合わせます。
参照しようとしたら数が合わないことに気づいた職員は、捜索に人手を集中させるでしょう』