• テキストサイズ

【刀剣乱舞】ラプラスの演算子

第1章 主が消えた夜


 遅い朝食を済ませ、鶯丸は本丸を散策することにした。

 馬当番のはずだが、すでに他の男士が担当していた。勘違いしていたのだろうか。

 主がもうすぐ戻ってくるらしく、それまでは空き時間らしい。

「案内しようか?」

という燭台切の気遣いは、丁重に断った。

 どうして燭台切がそんな提案をするのか、鶯丸には不可解だった。

 しばらく歩くと、長谷部が洗濯物を干しているのに出くわした。

 見慣れない衣服が誰のものか尋ねると、「主のものだ」と当然のように長谷部はこたえた。

 どう見ても男物だが、彼女の好みが変わったのだろうか。

「朝食はどうだった」

「美味しかった。野菜のこんそめすーぷ、だったか、初めてだがなかなかの味だ」

「そうだろう、主の好物でもあるからな」

「そうなのか」

 彼女の好物を全て把握しているわけではないが、いつの間に追加されていたのか。

 「こーんくりーむすーぷ」が好きだという覚えはある。

 それにしては聞いたことのない料理だ。好みが変わったのだろうか。

 試しに“主”について、長谷部に簡単に紹介してもらった。

「主は本当に謙虚で誠実な方だ! 一方で自己評価が低いきらいもある……それもあってか大変な努力家だが、無理をしがちだ。そこをしっかりと支えていくのが俺たちの責務だと思う。
 それにあまり体が丈夫でないようであるし……だというのに上から厳しいノルマを課せられるとも聞く。
 俺たちは強くならなければならない、主のためにも、わかるか? あの方は優しすぎる……誰かが少しでも怪我をすると、隠してはいてもつらそうで――」
/ 223ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp