第69章 私は…
智幸の視線の先を見遣る。
そして、目を丸く見開いた。
視線の先、目の前にいるのは杏寿郎だったのだ。
花「こんな石頭の娘、迎えにきてくれるのは杏寿郎くんくらいよ。」
花枝が軽く肘で泰葉を小突く。
「な…んで…」
杏寿郎は智幸と花枝に深々と頭を下げた。
杏「泰葉さんを危険な目に合わせ、謝らなくてはならないのは私の方です。申し訳ありません。」
智「今回は、男達が悪いんだよ。頭を上げておくれ。」
花「…でも、いくら互いを想ってだとしても、嘘をつくのは感心しないわね。」
『…すみません…。』
杏寿郎と泰葉の声が重なる。
すると、智幸と花枝は立ち上がり、茶屋の中へと入っていく。
花「お母さん達、お茶をしてから行くことにするわ。
2人でちゃんと話しなさい。」