第67章 後悔 ❇︎
杏「はは、処理とは…また物騒だな!
皆、怪我はなかっただろうか?」
「怪我人 ナシ! 怪我人 ナシ!」
杏「そうか!それならば良かった!」
要は役目を終えると、また明け方の空へと羽ばたいていった。
今度こそ、あの男共は世に出てこないといいのだが。
杏寿郎は身を清め、雛鶴が用意してくれた着物へと袖を通した。
杏「湯をもらった。ありがとう。」
雛「お早かったですね。泰葉さんも用意が整いました。」
乱れた髪や、汗をかいていた体は綺麗に整えられていた。
浴衣を着て眠っている泰葉からは、先程の姿は微塵も想像できない。
杏「このまま眠らせていてやりたいがな…。」
雛「できるならば…。
しかし、あの小瓶を全て体内に入れてしまったとすると、どんな副作用が出てもおかしくありません。
なるべく早く蝶屋敷へと…。」
雛鶴は複雑な表情を見せる。
忍の世界を知る雛鶴がここまで心配になるのだから、何も知らない自分は、それに従うのみ。
杏「では、急いで行こう。」
泰葉を毛布で寒くないよう包んでやる。
そして、横抱きにすると急いで宿を出た。
まだ明け方のため、人の気配はない。
静かな街を眺めると、鬼殺をしていた頃を思い出す。
杏「この時間に出歩くのも…また久しぶりだな…!」
眠る泰葉に負担をかけないように、杏寿郎は走り出した。
しかし、よく眠っている。
静かに目を閉じる美しい寝顔に、杏寿郎はこの時だけは穏やかな気持ちになった。