第67章 後悔 ❇︎
そして、薬を飲まされてから初めて「やめて」と口にした。
そろそろ泰葉の限界が近いのだと悟る杏寿郎。
杏(次に達したら、きっと気を失うだろう…)
それまでに、十分発散できるように。
目覚めに不快感が残らないように。
泰葉のツボを確実に捉えられるようにとナカを探る。
そして、ソコは悲鳴に近い声と共に見つかった。
杏「ここか。」
杏寿郎はそこを一点集中し、緩く腰を動かした。
「あっ、あっ…お…」
泰葉の声を聞きながら、達するタイミングを見計らう。
一際声が上擦り、脚もピンと突っ張ったのを確認して杏寿郎は腰を早めた。
「きょ、じゅろ…杏寿郎…さ…きょう…あっ…」
杏「…!俺はここだ。ちゃんといる…!!」
「うっ、あっあっ、だ…め…」
杏「…くっ、共に…!」
「っあぁ———…」
杏「くぁっ…」
泰葉は大きく身体をしならせ、達した。
杏寿郎は寸前で抜き取り、泰葉の腹の上に吐精した。
くたっとしている泰葉は、そのままあっという間に眠りに落ちてしまった。
杏寿郎は泰葉の腹の上を綺麗にして窓を見ると、夜明けが近いようだった。
杏「流石に、身体には無理をさせてしまっただろうか…。」
すー…すー…と寝息を立てる泰葉の頬に、優しく、愛しさを込めて口付けた。
雛鶴の言葉のように、一時の発散道具になっていたのだとしても、杏寿郎の心は満たされた。
譫言(うわごと)のように泰葉の口からは、杏寿郎の名が呼ばれた。
意識が明確でなくても、自分を求めてくれていた。
杏「…俺はここにいる。」
そっと髪を撫でると、泰葉の顔が少し穏やかになった気がした。