第67章 後悔 ❇︎
杏寿郎は泰葉の部屋の前で一呼吸する。
杏「泰葉さん、入るぞ。」
スッと襖を開けると、杏寿郎はビクッと身体を跳ねさせた。
目の前には泰葉がいる。
いるのだが…。
それが何とも目を疑う姿であった。
下着姿で寝転ぶ泰葉。
それだけでも日頃の彼女からは想像できないと言うのに、息遣いは荒く、目は潤み、頬は赤らんで口元はだらしない。
男を誘い込むには十分すぎるほどいやらしいものだった。
杏「泰葉…。」
思わず生唾を飲み込んでしまうのは、男としての反応。
杏寿郎はブンブンと頭を振る。
「はっ…あっ、たす…けて。熱いの…。切ないの…。」
ぼぉっと杏寿郎を見上げるその瞳は、僅かに焦点が合わない。
杏「あぁ。そのために俺が来た。今、楽にしてやろうな。」
そう、これは泰葉への治療なのだ。
何度も杏寿郎の心の中で繰り返し言い聞かす。
杏寿郎が畳に膝を突き、まずは…としていると、急にぐんと手を引かれ、唇に柔らかな感触を感じる。
杏「!!!」
それが泰葉の唇であると認識するまではかからず。
目を見開いていると、泰葉から杏寿郎の口をこじ開けようと、舌が捩じ込まれて来た。
「んん…ふぅ、あっ」
何とも艶かしい、吐息混じりの声を漏らす。
些か強引なその様子は、どうやら本当に泰葉ではない様だった。
杏「ん……はぁ…」
「んぁ、ふ…んん…」
ピチャ、ピチャと水音が部屋に響く。
泰葉は徐に自分の胸に手を当てた。
「んんぅ!!」
ピクッと身体を跳ねさせながら、また自分の胸を揉む。
杏(あぁ、切ないのだな…。)
そうだ、今は自分の熱を発散することしか泰葉の頭にはない。
ならば順序や泰葉が感じているかなどというよりも、まずは触ってやったほうがいいのかも知れない。
泰葉の手を払う様にして杏寿郎の手が乳房を包み込む。
下着の上からも分かるように、ツンと勃っている蕾。
それを親指でクリッと撫でれば泰葉の身体はピクリと跳ね、顎が上がった。
「あんっ…は…」
杏「気を遣りたい時には、好きな時に好きなだけイキなさい。」