第67章 後悔 ❇︎
雛「勘が良く、耐性のある相手を堕とす為、使うとしてもせいぜい5滴が限度でしょう。」
杏寿郎は小瓶を見る。
瓶の中はどう見ても空だ。
大きさ的にも5滴ではきかない容量なはず。
杏「…まさかとは思うが…」
この事態には流石の杏寿郎の手も震えた。
雛鶴からは今自分の考えは度が過ぎていると、否定してほしい。
雛「はい。この瓶の中身全部を飲まされています。」
杏「…っそんなこと!!」
雛「胡蝶様の薬もあり、先程よりは治りつつ有ります。
…でも、とても苦しいでしょう。どこを触れても身体が反応してしまう…。それが例え嫌な刺激だとしても。」
杏寿郎はガタッと立ち上がりすぐに泰葉の元へと向かおうとした。
1人でそんな苦痛に耐え忍ばなくても良い。
抱きしめていてやりたい。
その一心だった。
雛「煉獄様!お待ちください!!」
今も泰葉が苦しんでいると言うのに、座学を学んでいる場合ではない。
杏「説明は理解した!!感謝する。」
雛「…では、最後に。
泰葉さんは今は欲求を解消するためにしか、煉獄様を欲していません。
ここでのことも、次に起きた時には覚えていないと思います。」
雛鶴の言葉は、2人が互いに心から愛し合っているから伝えたかったもの。
今の泰葉は、泰葉ではない。
それを割り切らないと、杏寿郎の心がやられる。
そして、起きた後に事実を知った泰葉が心を病んでしまうからだ。
杏「肝に銘じよう。忠告感謝する。」
雛「私たちは宿の周辺におります。一晩は誰もいません。
明日の朝、お伺いします。」
雛鶴は一礼をして姿を消した。
杏(泰葉さんのようで…別人…か。)