第67章 後悔 ❇︎
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須「あっ!煉獄様っ!!」
杏寿郎が駆けつけると、こっちだと手招きする須磨がいた。
杏「泰葉をありがとう!この宿に?」
須「はい。中に雛鶴と一緒にいます!」
ま「あ、来た来た!こっちです!1番奥に。」
本当に人祓いをしてくれている様で、宿の女将などの出迎えもない。
他言無用のこの事態に、恐らく大金を握らせてくれたに違いない。
杏「煉獄だ。開けてもいいだろうか。」
杏寿郎がまきをに案内された部屋の前に着くと、襖に向かって声をかけた。
中からは泰葉の苦しそうな声が聞こえる。
雛「少々お待ちください。」
そう言って、雛鶴がその部屋から出てきた。
パタンとまた閉じられた襖。
そして畳の上を這う様な音がし、ガタッと物音がした。
杏「入っても…」
雛「お待ちください。」
雛鶴は杏寿郎を向かいの部屋へと入らせた。
まきをが見張と言わんばかりに、泰葉のいる部屋の襖に耳を傾ける。
雛「煉獄様に、泰葉さんが飲まされた薬の説明をいたします。」
真剣な顔で杏寿郎に向き合う雛鶴。
杏寿郎も背を正し、真剣に聞き入った。
雛「あの男たちの目的は今は明確には分かっていませんが、今回女性たちが飲まされたのは"媚薬“です。」
媚薬。
それは興奮剤で、服用すると性的欲求が高まるとされている。
流石に杏寿郎もその知識は入っていた。
それをあの得体の知らない男たちに飲まされたというのは、とても気分が悪い。
雛「それで、私たちはその事も予想をした上で入眠効果のある解毒剤を女性たちに打ち込み、寝かせています。起きたら彼女たちは、普段通りに戻るでしょう。」
杏「そうか…。しかし、泰葉さんは眠れていない様だが…」
雛鶴はコクンと頷く。
雛「それが問題なんです。
泰葉さんが飲まされたのは、これです。」
杏寿郎の前に赤い小瓶が置かれる。
杏「これは?」
雛「これも媚薬です。しかし、これは忍の世界にしか出回らない代物。そして、最重要人物を堕とす時にしか使わない…薬です。」