第67章 後悔 ❇︎
和「…⁉︎」
し「せいぜい、後悔するんですね。」
そう言ってしのぶが退くと、ゴウッという音と共に炎の様に光る双眼が飛んでくる。
そして、捉えきれぬ速さで和誓の顔面に拳が入った。
『ぐっ………!!!!』
ズザァァアアと地面が抉られる様に飛ばされる和誓。
周りは何が起きたかさっぱり分からなかった。
ザッと地面と草履を擦らせ、仁王立ちになっていたのは杏寿郎。
その表情は、"冷徹"という言葉がぴたりと当てはまる。
杏「俺の妻に…何をした…?」
その場にいる誰もがぞわりと悪寒を感じる声。
しのぶでさえも身震いした。
祐「つ、妻⁉︎…泰葉が…妻…。
お前!!煉獄家の若いのか!!」
祐一が叫ぶと、ギロリと双眼が祐一を捕らえる。
正に蛇に睨まれた蛙。
その隙にしのぶは泰葉に解毒剤を打ち込んだ。
「うっ…はぁっ…」
もう触れられるだけでも頭がおかしくなる。
誰に触れられ、何をされているかなど何も分からない。
し「泰葉さん、頑張って…!!」
「ふぅ…んん…」
他の女性はすぐに眠りについた。
だが泰葉の様子は先程よりは落ち着いたものの、まだ苦しそうである。
蜜「薬…効かないの?私、触って大丈夫かしら。」
戻った蜜璃は泰葉にかけるための毛布を手にしたまま、不安げに見つめていた。
杏「貴様…泰葉に何をした?」
祐「…まさか煉獄?いや、お前違うやつか!煉獄家には黒髪の男なんて居ないはずだ…!!」
杏「何をしたって聞いているんだ!!」
ワーワー騒ぎ立てる祐一にグンッと空気を痺れさせるような圧をかける。
すると、泰葉達の元に天元がいつの間にかしゃがみ込んでいた。
天「こりゃ、随分とマズイもん飲まされてんな。」
泰葉の口元に鼻を寄せてクンと匂いを嗅ぐ天元。
彼がこの類でマズイというならば、余程なのだろう。
この対処は杏寿郎でなければ解消できない。
天元はとりあえず杏寿郎の行動を見守る。
急がなければ、1番辛いのは泰葉だ。
天(とりあえず、煉獄を怒りから戻さねぇとな…)
天「…あぁ、こりゃ派手に頭に血が昇ってんな!!」