第66章 消失
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千「…父上、泰葉さんのお帰り、遅いと思いませんか?」
槇「…あぁ。夕飯までには戻ると言っていたが…。」
煉獄家の時計の針は午後6時半を指している。
いつもの夕飯時間は既に過ぎているのだ。
千「…何か、あったのでしょうか。」
槇「大丈夫だ、街には杏寿郎もいる。騒ぎになれば杏寿郎も気づくだろう。」
千「…はい。」
しかし、内心槇寿郎も嫌な予感がしてならなかった。
友と語り合っている内に時間が過ぎてしまった…だけならいいが、本当におそらく何かに巻き込まれている気がする。
槇寿郎は駆けつけた方が良いかと思うが、煉獄家特有の髪の色。
杏寿郎がわざわざ黒く染め、煉獄家とバレないように向かっているのに、自分が行ったらそれが台無しになってしまう。
自分だけならともかく、息子達や息子の嫁…授かるかもしれない孫達まで危険に晒したくはない。
槇寿郎は、杏寿郎達を信じて待つことしかできなかった。
槇「頼むぞ、杏寿郎。」