第66章 消失
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杏寿郎と天元は1人が影武者だったのが判明し、二手に別れようと作戦変更を余儀なくされる。
すると、前を歩く男が口を開いた。
『おい、そろそろ時間だなぁ。
親分はこっちに来るんだろ?』
『あぁ、街外れの奴らもそろそろ来んだろ。街外れは女探すのも一苦労だからな。そっちじゃなくて良かったぜ…。』
親分…
それは坂本和誓のことだ。
天「チッ…まじかよ…」
杏「む、何かあったのか?」
天「坂本が合流するそうだ。」
杏「…とすると、どちらかその様子を見張っているしかないな。」
杏寿郎としては天元が双子の影武者を追い、杏寿郎が泰葉を張り込み、襲いにきた男を取り押さえたい。
だが、親玉が来るとなると、優先順位はこちらの方が間違いなく高い。
天「そうなんだがな…坂本が来るとなると、護衛が来るだろう。
何かあった時、流石に1人じゃ対峙できねぇだろ。」
鬼を相手するより容易い。
負ける気もしない。
だが、厄介なのは相手が多い事だ。
30人近くが一気に来たら、いくら天元や杏寿郎でも対処しきれない。
杏「だが、どうする。泰葉さんが攫われるのも時間の問題になってきたぞ。」
天「…そうだな。けど、泰葉は戦えんだろ。
鬼と互角なんだ…。この男等を相手するくらい大丈夫だろ。」
杏「ん…む。気をつけるようにも言ってある。警戒はしているだろうし、大丈夫だとは思うが…。」
何かが杏寿郎の中で引っかかっていた。
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一方で実弥と義勇。
実「さぁ、警官嘗めたら痛い目に遭うって分かったかァ?」
義「お前達の親玉はどこだ。」
2人の前には腰を抜かした4人の男。
男達はガタガタと震えている。
『お前等、ほ、本当に警官か⁉︎』
実「この格好してんだァ。分かんだろォ。」
義「親玉はどこだ。」
今の2人は格好は警官の制服。
だがこちらも、実弥は黒髪へと変貌を遂げている。
そして、義勇はというと…髪をバッサリ切り、短髪へと変わっていた。
案の定、見廻っていただけでこの男達に絡まれた。
それを返り討ちにし、今に至る。
全く歯が立たないのが信じられないのだろう。
男達はワーワーと騒いでいる。
実「うるせェ。頭カチ割んぞォ!」