第66章 消失
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その頃、泰葉の姿を探す男がもう1人。
街中をキョロキョロと、見回しながら歩く姿。
それは "不審者“ 以外の何者でも無い。
『泰葉…、泰葉…どこにいるんだ…。』
その男は松本祐一。
表情には焦りを滲ませ、必死に泰葉を探している。
坂本和誓に言われ泰葉を見つけ出さなければならない。
来週までにはと言っていたが、それを言われたのは土曜日。
和誓の言う来週とは、所謂明日の月曜を指している。
以前忍び込んだ家に行ってみたが、全く知らぬ老夫婦が住んでいた。
早いところどこにいるかを掴まなければ、自分の命は無い。
…だが、祐一の中では急いで泰葉を見つけたい理由がもう一つある。
それは、【泰葉をこの手で汚したい。】
泰葉を見つけ出し、素直に和誓に差し出したところであの男は「お前の目の前で可愛がってやる」そう言っていた。
つまりは、泰葉の犯される姿を指を咥えて見ていろ…という事だ。
祐(俺だって彼女の柔肌に触ったことさえないんだ…!!!)
泰葉を攫って遊郭へ売り飛ばし、漸く触れる機会を手に入れた。
全てをモノにしてしまうには勿体無く、太ももだけとあと一歩の所で宇髄とかいう大男に邪魔をされたのだ。
あの時勿体ぶらなければ…。
その後悔がよぎる。
祐「アイツに先を越されるのはごめんだ。そんな事になるんなら泰葉を俺の手で滅茶苦茶にしてからにしたい。」
目は血走り、ぎょろっと目を動かすその様はとても正常な精神の持ち主ではなく、周りのものは関わりたく無いと皆目を背けていた。
祐(どこだ…どこに…)
すると、ピタリと動きを止める祐一。
祐「そもそも…まだ誰のモノにもなってないよなぁ?煉獄…あの男のモノになど…!!うわぁああ!!」
急に叫び出し、地団駄を踏む。
頭を掻きむしるように暴れる祐一は異常としか言えなかった。
『松本様、ご報告がございます。』
そんな祐一の元に、1人の男がやってきた。