第66章 消失
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「店長、あの…」
店「ん?どうしたんだい、泰葉ちゃん。」
泰葉は客からの要求を伝える。
店長は話を聞くと困ったと顔を顰めた。
店「うわー、よりによって1番嫌な奴らが来てしまったんだね。」
ガシガシと頭を掻いて客席を覗くと、男達は頬杖をついてテーブルをトントンと指先で叩いている。
店長は、はぁ…とため息をつくと、その男達の元へと向かっていった。
泰葉もお冷を持って、その後についていく。
なんだか嫌な予感しかしない。
店「お客様、失礼致します。うちの女性達になにか御用でしょうか?」
店長は男達に向かってそうにこやかに尋ねる。
すると、ガタッと音を立てて1人の男が店長の胸ぐらを掴んだ。
『あ゛?誰がおっさん連れて来いって言ったぁ?この店で一番美人な女を連れて来いって言ったんだよ!!』
男たちは店長をグイッと引き寄せ、ギロリと睨まれた泰葉は、ひっと肩をすくめる。
だが、内心やっぱりな…とも思っていた。
杏寿郎と天元はグッと堪えながら様子を伺う。
今下手に出て行って騒ぎを大きくさせる訳にはいかないのだ。
しかし、店長は若干怯みながらも目を逸らさずにいる。
店「申し訳ありません。うちは女性が接待するような店ではなくて…。」
『てめぇ!嘗めてんのか⁉︎」
今にも殴りかかりそうな男。
泰葉は咄嗟に店長を引き寄せる男の手を掴んだ。
男はまさか掴まれるとは思っておらず、殴る前に泰葉を睨みつける。