第66章 消失
1番若手はそれでも政府に楯突く気はない様で、なんとも言えぬ表情をしている。
杏寿郎はその様子を見て、自分達の鬼殺隊に入ったばかりと重ねた。
杏「うむ、貴方は大変真面目な様だ。しかし、時には決まりに反することであっても、柔軟に対応しなければならない時もあるだろう!」
天「そうだぜ、その上官さんの様にな。
確かに、逆らうのは怖いよなぁ。それが政府となりゃぁ。」
『……。』
若手は言い返すことができない。
図星だからだ。
杏「…では、俺たちはなるべ刀は使わないで対処しよう。
もし、向こうが真剣で切り付けて来た場合や、周りの人に危険があると判断した時のみ、こちらも刀を抜かせてもらう。」
「それでどうだ?」
『…そ、それならば…。』
若手は狼狽えながら頷く。
上官が視線を向けると、そこからは何も言わなくなった。
実「まぁ、世の中は刀は御法度だからなァ。そうなるのも分かる…。上官さんよォ、俺らは素手でも負ける気はしねェ。咎めないでやってくれェ。」
『お気遣い、ありがとうございます。
…では、その様な形で宜しいでしょうか。』
上官の声に頷く一同。
そうして、警官から制服を借り、打ち合わせは終了となった。
この三人とは、また街で落ち合うこととして先に向かって行った。
天「さぁて。ここからが大仕事だな!派手に化かすとするかぁ!」
腕まくりをして気合い十分な天元。
杏寿郎達は眼鏡をかけたり、制服を着たりするだけだと思っていたため、この気合いにぞくりと悪寒がする。
一体どうされてしまうのだろうか。
天「よし!全員まずは風呂入ってこい!頭をよーく洗え!」
『は?』