第66章 消失
杏「…。
そうか!それは心強いな!!」
一瞬の間を置き、いつもの様に溌剌と声をあげれば、警官はその威勢の良さに肩を震わせた。
そして、1人が杏寿郎を見て、もしやと口を開く。
『あの…煉獄様でいらっしゃいますか?』
そう尋ねるのは3名のなかで1番役職が上だと思われる中年の警官。
歳は槇寿郎より少し上といったところか。
杏「うむ!確かに煉獄であるが…!
しかし、どうして名を?世話になる様なことは致していないが…。」
杏寿郎は帯刀に関しても捕まったことなど一度もない。
ましてや私生活においては真面目…いや模範的な生活を送って来た。
それをどうして警官に名が知られているのか…。
『あ、いや。実は今回の親玉である坂本の手下を取り締まる際、以前貴方の御父上にご協力いただきました。』
杏「…父が?」
『なので…私は鬼殺隊のことも存じておりますし、貴方方の強さも重々承知しております。』
杏「なるほど。では…」
杏寿郎が口を開いた時、後ろの襖が勢い良く開けられた。
実「それで、御館様に話が入ったってワケかァ。
ったく、悪党取り締まるのが仕事だってェのに、やられたんじゃ格好つかねえなァ。」
義「…不死川、言い過ぎだ。彼らだって精一杯やってこの結果なのだろう。」
嫌味でしかない不死川。
警官のフォロー…に入った義勇。
これも嫌味に聞こえるが…。
『はぁ…。お恥ずかしい限りで御座います。』
警官達は申し訳なさそうに俯いた。