第66章 消失
「由梨恵…これは?」
由「簡単に言えば、変装?」
今2人は更衣室にいる。
由梨恵は店長から昨日のうちに預かっていた制服を泰葉に着せる。
フリルのついた可愛らしい制服にエプロン。
背の低めの泰葉にはスカートは膝より少し長いくらいだった。
着替えが済んだ泰葉に、由梨恵は自分の持っている化粧道具で化粧を足し、眼鏡をかけさせた。
元々化粧品を売る仕事をしていた由梨恵は、泰葉の良さを損なうことなく、ぱっと見では分からないようにしてくれたのだ。
由「眼鏡もしたらすぐには分からないでしょう。あなたが日頃薄化粧で良かったわ。」
「ありがとう由梨恵!もし来た時には教えるわね。」
由「その時には担当にならない様に配慮してあげる。任せておいて!!」
2人はこれで杏寿郎対策もバッチリだと笑い合う。
由「それじゃ、簡単に仕事の内容教えちゃうわね。」
「お願いします。」
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一方、杏寿郎は。
杏「宇髄!来たぞ!!」
宇髄邸の玄関を開けると、既に玄関には数足の靴が並んであった。
天「おう!そのまま入って来てくれ!」
言われた通り、居間の方へ向かうと既に数人の男の声がする。
杏(む。時間より早く来たつもりだが、出遅れてしまっただろうか。)
杏寿郎が襖に手をかけ、スッと開ける。
杏「すまん、出遅れ…!!」
杏寿郎がそう声をかけながら中を見ると、そこに居たのは天元と3名の警官だった。
天「大丈夫だ。お前が一番乗りだよ。」
杏「…宇髄、何をやらかしてしまったんだ?」
天「ちげーよ。今日はこの警官達と協力するんだよ。」
天元がジト目で杏寿郎を見ながら、顎で3名の警官を指す。
すると警官達は礼儀正しく杏寿郎へと向き直り頭を下げた。