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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第65章 嘘



千「それでですね、蟷螂(かまきり)というのは雌の方が大きいんです!ほとんどの生き物で雄の方が大きいのが多いですが…!」


千寿郎が昼間観てきた活動写真の内容を熱弁している。
杏寿郎はそうかそうかと聞いているが、槇寿郎は少し険しい顔をしていた。


槇「…千寿郎。楽しかったのも、勉強になったのも十分わかった。
しかしだな、食事中に…虫の話はよさないか。」


槇寿郎に言われて、千寿郎はハッとする。
そう、今は食事の真っ最中。

食事中に喋ってばかりいるのは行儀が悪いと躾けられてきた煉獄家。
千寿郎が食べている途中でこんなに話すのは珍しい。




千「あ、大変失礼しました…。」


顔を真っ赤にして俯く千寿郎。
槇寿郎は、そっと微笑み


槇「昆虫では飯が進まん。
食べ終わったら、観たものを父にも教えてくれないか。」


千「は、はいっ!!」













ということで、食後の今は千寿郎の槇寿郎への昆虫講座が開かれている。




杏「では、湯浴みを澄ませて泰葉さんのところへ行く事にしよう。
…本当は一緒に入りたいところだが…話も早くしたいからな。」

「そんなことばかり言って…。分かったわ、待ってる。」





正直、これから一緒に風呂に入るのは避けたかった。
風呂には不思議な力がある。


身も心も解れてしまうのか、風呂に入って隠し事はできないのだ。
もし、何かを聞かれた拍子に全てを喋ってしまいそう…。



だから、別に入ると言ってくれて心底ホッとした。





杏「些か別に入ると言われて嬉しそうに見えるのは気のせいか?」

杏寿郎の言葉にビクッと肩を震わせる。


「まさか、そんなこと…!」

杏「では…一緒に入るか?」


ずいと杏寿郎の大きな双眼が泰葉の瞳を捕らえた。


「それは…えと…」


しどろもどろしていると、杏寿郎の瞳は遠のいていく。



杏「冗談だ。上がったらすぐに行く。泰葉さんはゆっくり入って構わないからな。」


杏寿郎はいつもの調子に戻り、自室へと入って行った。





(危なかった…。)





泰葉は大きく脈を鳴らしながら離れへと戻り、火鉢に火を灯し部屋を暖め湯浴みへと向かった。



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