第64章 焦りと余裕
「ん?何か言った?」
千「いえ、なんでも。いつかそんな日が来るのかなぁ…。」
「ふふ、意外とすぐだったりしてね。」
千寿郎の本心は知られぬまま。
2人は街を歩いた。
「あ!千寿郎くん、あれが活動写真の施設よ。」
千「本当だ!思ったよりも大きな建物なんですね!」
2人の歩調が心なしか早まる。
前の回が終わったのか、ぞろぞろと人が出てきた。
今日は何の話だったのだろうか。
すれ違う人が、その感想なのか「凄かった…」そう言っていた。
「今日は一体なんの…!!」
千「えっ…これ?」
泰葉と千寿郎は本日のタイトルが書かれた幕を見る。
そして、2人は言葉に詰まる。
「千寿郎くん、これ…観る?」
千「あ、その、泰葉さんがよろしければ…観てみたいです。今後の勉強の為に…。」
「べ、勉強…?あ、あぁ、そうね。」
勉強と言われては。
千寿郎は頬を赤らめ、照れ臭そうにしている。
今日は逢瀬。
少しは知識を得て大人になっても良いかもしれない。
「よし!入りましょう!」
千「…よ、よろしくお願いします!」
そうして、2人は施設の中に入っていった…。