• テキストサイズ

太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第64章 焦りと余裕



2人を見送り、槇寿郎と杏寿郎は母家へと戻る。


槇「しかし、お前もよく許したな。」

杏「む。それは…。」

槇「弟だからそこまで嫉妬はしなかったか。」



横目でチラッと杏寿郎を見る。
真っ直ぐと前を見据えた大きな目が、少しだけ細められた。



杏「正直、弟だからという安心感があります。
それに千寿郎はまだ13歳。いや、確かに男ですが!!」




そんな事を話しながら、杏寿郎は先程までの自分の行動を思い返す。



・・・・・・・・・




杏「本音ならば行かせたくない。」


泰葉の首元に顔を埋め、そう呟くと泰葉はそっと杏寿郎の髪を撫でる。
柔らかく髪に差し込まれる指の感覚が心地よかった。



「ん…、私は気移りしないわ。」

杏「それは信じている。」



杏「それよりも、今楽しそうなのが…面白くない。」


「もう…そんなこと言わないで。」


泰葉の困った声が杏寿郎の耳を撫でた。


杏「それに、泰葉さんが戻るまで…見ることも叶わんし、触ることなどできないんだ…。」


スゥ…と首元で深く息を吸われれば、泰葉の身体はまたゾクゾクと粟立つ。


「杏寿郎さん、本当に…それ以上はダメよ。」

杏「今日触れるのは我慢しろと?」

「そうじゃなくて…。帰ってきたらにしましょう?私、これじゃ出かけられない。」

杏「帰ったらではいつもと変わらないじゃないか。」



杏寿郎はあからさまに、ムスくれた声を出す。
こんな杏寿郎は滅多に無い。
そんな彼を、泰葉は可愛く思えてしまうのだから大概だ。



「屁理屈…。」



せめてもの抵抗を見せる泰葉の顎を掬い上げ、杏寿郎は唇を合わせた。
啄むような口付けを何度も何度も繰り返す。


「ん、ふ…」

舌を入れ込み、口吸いをしようとすると、泰葉はそれを止めた。


「っは、杏寿郎さん、それは本当にだめ。」


泰葉の表情を見るに、本気で言っているようだ。
仕方ないと諦めて、泰葉を鏡の方へと向かせる。


杏「すまない、紅が薄くなった様だ。」


杏寿郎の唇に移ってしまったからか、確かに紅が取れかけている。
泰葉がまた紅を塗り直したのを見届けると、杏寿郎は項の少し下に口付けた。


「ん…ん⁉︎」



/ 1005ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp