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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第64章 焦りと余裕



・・・・・・・・・・・


というわけで今日、泰葉と千寿郎の逢瀬の日を迎えたという訳だ。




皆で朝食を済ませている時は特にいつもと変わった様子はなく、泰葉と千寿郎はいつも通り洗い物なども片付けて行った。



そして、泰葉が自室で準備をするのを見て、気が気じゃないのは杏寿郎。

自分も了承したルールを今更とやかく言うつもりもないし、優勝した者が天元でなく、弟の千寿郎であるだけ良かったと思う。



しかしながら、予想もしていなかった千寿郎の言葉。


杏(まさか千から、逢瀬がしたいだなんて出てくるとはな…。)




泰葉と杏寿郎が、互いに愛し合っているのは知っているし、泰葉と10以上も離れた弟に最愛の人を取られるかもなどとは心配していない。



それでも嫉妬してしてしまうのは、弟といえど男には変わりはないし、何より泰葉が楽しそうにめかし込んでいるのが気に食わない。





杏寿郎は、時折鼻唄を歌っている泰葉の背後に回り、そっと抱きしめる。
泰葉の鎖骨から胸元に腕を回せば、ピクリと体を跳ねさせた。


鏡をチラリと見ると、鏡に映った自分を真っ赤な顔で見つめ、この状況に固まってしまっているようだ。




杏寿郎は鏡の中の泰葉と目を合わせながら、右耳に口を寄せる。



杏「鼻唄まで歌って、随分と楽しそうだな。」

「ちょ、ちょっと…まだ準備して…」

杏「弟といえど男には違いない。それなのにそんなに楽しそうにされては、妬かないのがおかしいと思わないか?」

「だから、今日は千寿郎君で…」

杏「千寿郎だって男としての欲を持たないわけではないだろう。」



先程から泰葉に最後まで言わせてくれない。
どうやら杏寿郎の嫉妬は中々に深いらしい。





これは困ったなと心の中で眉を下げる泰葉だが、それとは裏腹に身体はゾクゾクと甘く粟立つ。


「んっ…」


杏寿郎がちゅ…ちゅ…と耳から首筋に口付けを落としているからだ。


「…ん、ねぇ。これから出かけなくちゃ…んんっ」



またもや泰葉の言葉を遮り、今度は顎を掬い上げ口付けた。





杏「本音ならば行かせたくない…」













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