第63章 勝負の時
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須「それでは!結果発表〜!!」
太陽が昇り、明るくなった辺り一面のように、元気いっぱいの須磨の声が響く。
ま「私が26匹、雛鶴25匹、須磨23匹!」
槇「奥方達…なかやかやるな。
おれは30匹だ。」
雛「泰葉さんは…?」
「うう…、5匹…です。」
泰葉は最下位確定だろうと、答えるのが恥ずかしかった。
皆二桁の数をいう中、一桁だなんて。
しかも内訳、泰葉1、要が4だ。
要は杏寿郎の鴉だけあって、協力はしてくれるが、実際に獲ってくれることはしなかった。
釣れかけた魚が、滑って逃げてしまったりするのを手助けしてくれた。
あくまでも泰葉が釣った魚、であるように。
天「まぁ、そんなに落ち込むなって!!」
杏「うむ!その通り!!」
しょぼくれる泰葉に、声をかける天元と杏寿郎。
元気がいいのは、さぞ釣れているからなのだろう。
須「え…っと、お二人の魚籠はどちらに?」
天「聞いて驚け!!俺は0だ!!」
杏「同じく!!俺も0だ!!」
むん!と胸を張っている二人。
皆、二人が何を言っているのか理解できなかった。
ま「て、天元様が…0⁉︎」
3人の嫁達は、衝撃のあまり口に手を当てている。
槇「きょ、杏寿郎も0だと?途中会った時は魚籠に入っていただろう。」
杏「はい!正しくは0では無かったですが、ここに戻るまでに熊の親子に出会い、魚をやりました!!」
新しく作ってしまった流れを岩で堰き止め、屋敷に向かう途中に魚を獲っている熊の親子に出会った杏寿郎。
しかし、育ち盛りの子熊に分け与えるばかりで、母熊は空腹に倒れそうになっていた。
「これを食べて、次からもっと狩を頑張れ!」と、杏寿郎は魚を譲ってきたのだ。
『…菩薩か…!!』
皆、そう心で呟いた。