第63章 勝負の時
天「くぅー!流石だな!煉獄!!
お前、熊にまで優しいのかよ!」
杏「君も猪に芋を分けてやったんだろう?一緒だ!!」
天「最終的にはその猪と戦って追い返したけどな!!」
そんな事を言い合っていると、また須磨の声が響く。
須「…で、ずっと気になっていましたが、千寿郎くん!
一体何匹釣れたのですか⁉︎」
そう、誰もが見て優勝だろうとあえて先に聞かなかった、千寿郎が手にしている魚の数。
千「えと…72匹…です。」
皆に注目されて、おずおずと答える千寿郎。
すると、『すごい!!』と、皆がどっと盛り上がる。
しかし、千寿郎は居た堪れず
千「あのっ!でもうちの45匹は宇髄さんが獲ってくれたものなんです!!」
と、叫んだ。
一瞬、皆ポカンとした表情で静かになったが、天元がその空気をうち消す。
天「やめろやめろ、千寿郎!
俺がいい奴だってバレちまうだろ!」
須「天元様…分けてあげたから…!!」
天元がおどけ、須磨がときめいて天元を見つめていると
天「火薬玉使って魚を獲るのは、俺にしかできないなんて言われたら、そりゃ見せてやらねえとなぁ!」
そう胸を張る天元を、ときめきの眼差しで見つめていた嫁3人だが、それを聞いた途端、目の色が変わる。
雛「それって、天元様。」
ま「ただ単に、褒められたのが嬉しくて」
須「調子に乗っただけ…?」
『ぷっ…あははは!!』
周囲は笑いに包まれる。
胸を張っていた天元も、流石に恥ずかしくなり、真っ赤になりながら声を張り上げた。
天「ばかっ!!千坊に褒められてみろ…!!
お前たちも、魚全部やりたくなるぞ!!」
そんなこんなで、楽しい釣り大会は
千寿郎の優勝で幕を閉じたのであった。