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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第63章 勝負の時



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〜千寿郎視点〜

急げ。
もう時間は無いんだ。



千「どこだろう…。早く見つけなくちゃ。」


僕は急いでいた。
自分が釣りをしていた場所を通り過ぎ、下流へと向かう。


宇髄さんから貰った魚は、正直天からの恵みのようだ。
僕も思ったよりは釣れていたけれど、この数では優勝はできないだろう。

でも、貰った沢山の魚があれば…!!



千「わ!…とと。落とすわけにいかないんだ。」




追いかけっこをしているかのように太陽が昇る。
薄暗かった辺り一面も、生き生きとし始めた。



千「…もう時間だ。」



まだ見つけていないのに。

川沿いにいるとわかっていながら、なかなか見つからないものだと眉を下げる。



『千!!』



一際大きな声で己の名を呼ばれると、ビクッと身体を震わせた。




千「あ、兄上…!!」


間違いなく兄の声だと、振り返る。
しかし、その兄の様子に驚き固まってしまった。



千「それ…は?どうされたのです?」


釣り竿と魚籠を持っているはずの兄は、頭上に大きな岩を持ち上げているでは無いか。



杏「魚を獲ろうと呼吸を使ったら、底を抉ってしまったようでな!
新たなる流れを作ってしまった。
流石に宇髄の山だ。俺が勝手をしてはいけないだろう。」


だからその岩で流れを塞ごうというのか。
律儀なのはなんとも兄らしい。



千「あ、そうだ。兄上、お尋ねしたいのですが…?」


声をかけると、兄の視線が自分の手元に向いているのを感じる。
『お前が、どうしてそんなに?』と言いたいのだろう。



千「これは…ですね。実は…」


杏「む?」



これまでの経緯を話そうとした時、兄の視線が一気に頭上へと変わる。
それを追うように上を見ると、1羽の鴉が飛んでいた。


千「…あ!」

杏「あれは宇髄の鴉!よもや、時間となったようだな!!」



それは、この大会の終了を意味する。
しかし、僕は目的を果たせていない。
この際、最終手段だ…!




千「兄上!この魚を貰ってください!!」








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