第62章 季節外れの春の訪れ
「うん…。そっか。」
炭「それに、家がどんな状態だかわからないし、一度は確かめに行かないと!」
ニコッと気丈に振る舞う炭治郎。
しかし、家族が殺されてしまってから、家に戻っていないとなれば見るに堪えない状態なんじゃないか…。
泰葉はそれでも帰ると決意した炭治郎達はすごいと感心した。
大切な家族を強く想っているからなのだろう。
そう話していると、禰󠄀豆子達がこちらにやって来た。
禰󠄀「煉獄さん!泰葉さん!いらしてたんですね!」
「禰󠄀豆子ちゃん、久しぶり。」
杏「竈門少女も息災か!」
禰󠄀「はいっ!みんな元気に過ごさせてもらってます。」
善「ねーずこちゃーん!…あ!泰葉さぁん!」
禰󠄀豆子を追って来たのであろう善逸が、緩み切った表情でかけてくる。
泰葉を見て鼻の下が更に伸びたようだ。
「善逸君!」
善逸があはは…とお花を散らしながら泰葉目掛けてスキップしてくる。
善「泰葉さぁん、会いたかったですー!そりゃぁ禰󠄀豆子ちゃんがいるので寂しくはなかったんですけど、どうしてるかなって…」
と、泰葉の手を握ろうとしたところで、大きな手が遮る。
杏「黄色い少年!心配ならいらないぞ!泰葉さんは毎日元気に暮らしている!」
至近距離だというのにビリビリした声で言われるものだから、善逸の耳はキーン…としばらく耳鳴りが続いた。
「杏寿郎さん、善逸君は耳がとっても良いの!だから声は抑えて!」
杏「むう…すまん!」
杏寿郎が叱られたのは言うまでもない。