第61章 安堵
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そして、今に至る。
まだ昼間ではあるが、帰らぬ2人。
2人とも大人なのだから…。
と思いを巡らせるが、どうしても心配でならなかった。
槇「2人はまだ帰らないのか。」
千「ぼ、僕、門を掃いて来ます!」
気になって仕方がない千寿郎が箒を持って門まで行くと、遠くから手を繋いで仲良さげに歩いてくる2人の影。
あの頭は間違いなく、自分の兄であった。
…その隣に歩く姿。
こちらも、間違いなく泰葉である。
千「ち、父上!!帰ってきました!!ちゃんとお二人で!!」
槇「本当か!!!」
杏寿郎と泰葉も千寿郎の姿に気づく。
「あっ、千寿郎くんっ!」
おーいと手を振ってみるが、何やら慌ただしくなる煉獄家。
その様子に杏寿郎と泰葉もどうしたのかと、首を傾げる。
しばらくすると、慌てた様子の槇寿郎がバタバタと門から顔を出し、千寿郎がこちらを指さす。
「杏寿郎さん…、やっぱりすごく心配してたんじゃ…」
杏「む⁉︎要に朝帰ると伝えてもらっていたはずだが。」
そうしていると、千寿郎が箒を投げ出してこちらへ走ってきた。
泰葉は、杏寿郎の手をパッと解いて千寿郎の元へと向かった。
千「泰葉さん!良かった!!」
「ただいま!遅くなってごめんなさい。色々あって…。」
泰葉の手をぎゅっと胸の前で握る千寿郎。
そんなに心配させてしまったのかと、胸が痛む。
杏寿郎も追いつき、2人のぎゅっと握り合った手を見つめる。
千「兄上!おかえりなさい。大丈夫でしたか?」
杏「あぁ!何ら問題ない!」
そう言いながらも、まだ2人の手を見つめる。
すると、槇寿郎まで駆け寄ってきた。
槇「あぁ、無事か?泰葉さん、怪我はないか?」
やたらと泰葉の心配をする槇寿郎と千寿郎。
杏寿郎はその意味が、自分が泰葉に酷いことをしたと思われているのかと、心外でならなかった。
杏「父上!泰葉さんは怪我などしておりません!いくら昨晩の泰葉さんが大変愛らしくとも、怪我をするような酷い抱き方を…
「わぁ———⁉︎」