第60章 君を傷つけない為に ❇︎
ぐいっと杏寿郎の腰が器用に攻め立ててくる。
泰葉の視界には星が瞬いた。
「う…んっ、あっ」
杏「いつも泰葉は愛しいが…。
今宵は一段と愛い…。」
そう言って、杏寿郎の先が泰葉のイイトコロを捉える。
「んあぁっ!」
杏「ここか。」
杏寿郎の口角は上がり、そこを集中的に、規則的に擦り上げる。
トチュ、トチュ…と音を立て、段々と泰葉の頭は霞がかっていく…。
また近づく限界。
今度こそ達してしまいそうになり、キュッと目を瞑る。
杏「泰葉、目を開けて。俺を…見て…達して、くれっ」
「んんっ、あっ…そ…な、む、り…」
それでも杏寿郎の言う事なら…とできる限り目を開いていようと、杏寿郎の目を見つめる。
杏寿郎の目もいつもよりも少し細められ、余裕のない表情だった。
(そんな表情も綺麗だな…)
そう思った時、握り合った手がキュッと力が入る。
途端に杏寿郎の律動の速さが上がってきた。
「はぁっ、あっ、あっ…」
声を抑えようとも、制御ができないほどの快感に、泰葉は抗う事などできず。
思うがままに喘ぎ、杏寿郎を求めた。
「きょ…も、ダメ…」
杏「あぁ、俺もだ…。共に…。」
激しくゆさゆさと揺すぶられれば、それに合わせて昇り詰める快感。
もう何も考える事ができなくなって、生理的な涙が流れる。
杏寿郎はペロッとその涙を舐めとった。
「あっ…あぁっ————」
杏「くっ…————」
泰葉の上擦った、杏寿郎の少し苦しそうな…
2人のそんな声が部屋に響いた。
杏寿郎はビクッと何度か身体を震わせ、その度泰葉の膣壁が収縮を続ける。
杏「…すまん」
そう言って、自身を引き抜くと、泰葉の蜜口からはコポッと白濁したものが溢れた。
「ううん、大丈夫。」
息を切らしながらむくりと起き上がり、杏寿郎に微笑む。
だが、杏寿郎はまだ困った顔をしていた。
杏「いや…泰葉が愛おしすぎて…収まりそうも無いんだ…。」