第60章 君を傷つけない為に ❇︎
静かな部屋に響く水音と、熱い吐息。
杏寿郎がゆっくり律動を起こす度に、泰葉の甘い声が漏れる。
杏寿郎の動きに合わせて、可愛い喘ぎと、ふっ、ふっと荒い呼吸を繰り返していると、杏寿郎の眉間に皺が寄る。
今日の泰葉のナカが異様に蠢いているのだ。
杏寿郎の昂りに纏わりつくように、決して離れないでというように。
杏(今日は…やけに…)
杏寿郎の身体が陰茎に血を回せと促しているのが分かる。
既に硬さは十分持っているはずなのに、更に神経を集中させようとしている。
同じく、泰葉も自分の身体が、いつもと違う事を感じていた。
(な…に、これ…。いつもと…ちが…)
自分でも分かるほど、下腹部はキュンと切なく、杏寿郎に突かれる度に快感に侵されている。
杏寿郎の昂りが、また引き抜かれようとすると、膣壁が行かないでとしているのを感じていた。
逆光で影を落とす杏寿郎が眉間に皺を寄せると、その顔が艶かしく泰葉の感情を更に昂らせていく。
「んん…!んぁ…も、はぁっ…」
自分に限界が近いことを悟る泰葉は、それを伝えようとするも、口を開けば喘ぎしか出ず、言葉を発する事ができない。
杏寿郎は泰葉の様子で、そろそろだと察する。
絶頂へと向かっていけるように、胸の蕾を摘もうと手を動かすと、泰葉の指が杏寿郎の指に絡んできた。
指同士が交差するように組み合えば、そのまま杏寿郎が押さえ込むような態勢となる。
杏「泰葉、君がっ、達しやすいように…して、あげたいのだが…」
「んっ、だめっ、そしたら…すぐ…おかしくな、る…」
杏(そんな君が見たいのに…、俺でおかしくなってくれ…)
杏寿郎の心の中ではそんな事を考える。
しかし、キュッと絡んだ指は離してくれそうもない。
「杏寿郎さんっ、今日は、今日は…手を…握っててっ」
喘ぎの合間に必死にそう告げられる。
杏「…分かった。泰葉が満足するまで、こうして…手を握っていよう。」
杏寿郎がふっと微笑むと、眉を寄せながらうんうんと頷く泰葉。
杏「…では、このままで達せるように、しないとなっ…」
「んぅっ、ひゃうっ⁉︎」