第60章 君を傷つけない為に ❇︎
「刀のため…じゃ、んっ」
杏「以前は…刀の為だった。しかし、泰葉さんと触れ合う様に、なってからは…。」
口付けを落としながら、杏寿郎は話を続ける。
その度に吐息が泰葉の至る所にかかり、ピクリと身体が跳ねる。
杏「この白い肌を…。柔らかな胸の膨らみを…。そして、俺を受け入れてくれる…ここも。」
「んぁっ!」
杏寿郎の手はその場所を知らせる様に、肌を滑り胸を撫で、ゆっくりと今1番敏感な場所へと到達する。
クチュ…っと音を立てるそこは、もう濡れそぼっていた。
杏「伸びたら爪を切り、最近はヤスリもかけているんだ。」
秘部は水音を立てながら、杏寿郎の指先を濡らしていく。
杏「その理由は、君を傷つけない為に…。」
「あんっ…」
くりっと指の腹を陰核に押しやれば、泰葉の顎が上がる。
その上がった顎の輪郭を、杏寿郎の柔く熱い舌が伝う。
ぶわわっ…と、泰葉の身体は粟立ち、なんとも言えない快感に身悶えた。
「ひぁっ…んん、あっ…」
杏「間違えて引っ掻きでもしたら…大変だろう?」
そして杏寿郎の右手が泰葉の左の乳房を包む。
その手はやわやわと感触を確かめたり、回す様にしてみたり。
時にツンと主張した頂きをキュッと摘む。
「んあっ、ふっ…」
時折訪れる強い刺激。
それが来る度に、泰葉の視界にはチカチカっとした何かが瞬く。
杏「愛い…愛いなぁ。」
杏寿郎は、たまに泰葉の表情を見てはまた口付け、愛を囁く。
これは昼間からずっと言いたかった事。
泰葉の仕草、表情全てが愛しくてならなかった。
まさか修羅場に遭うとは思ってもなかったが、1日の終わりにこうして愛を伝え合う事ができて良かったと思う。
すると、杏寿郎の首に泰葉の腕が回される。
「杏寿郎さん、私杏寿郎さんを愛してる。」
杏「あぁ。知っている。」
杏寿郎は優しく微笑み、泰葉の唇に口付ける。
そして、口吸いに変わり…互いの歯列を熟知するかの様に舌を絡ませあった。
ぷはっ、と空気を求めると、きらりと光る銀の糸が紡がれる。
杏「泰葉、愛している…」
杏「誰よりも。」