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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第59章 あなたは誰?



……………。

千(ちちち父上と手を…手を繋いでしまった!!)

槇(自然と手を取り合ったが…流石に嫌じゃないのか?でも、今更解くのもおかしいか…。)


街まで歩く2人の頭では、そんなギクシャクした付き合いたての恋人のような考えがぐるぐる回る。


千(父上の手…硬い。兄上も硬いけど、それ以上かもしれない。)

槇(千寿郎の手は、いつの間にかこんなに大きくなっていたのだな…。本来繋いでいたはずの頃に、手を握れず…俺は…)




槇「千、お前…頑張ったな。」


突然、槇寿郎が口を開く。


千「え…?」


槇「お前の手も握らずに、いつの間にかこんなに大きくなってしまった。子の成長など、一瞬で一度しかないというのに…」



千寿郎は槇寿郎の顔を見上げるが、表情は見て取れない。
しかし、自分の手を握る力が先程よりも少し強まったのを感じた。



槇「手を握れば分かる。毎日毎日鍛錬を頑張ってきたのだということが。」




千「…父上…。」



千寿郎は嬉しく思う気持ち反面、少し後ろめたさを感じる。


千「でも…僕は剣士にはなれませんでしたし、日輪刀も「千寿郎。」



槇「それはもう気に病まずともいい。もう、鬼はいない。これは千寿郎には日輪刀を握る必要もなかったということだと、俺は思う。杏寿郎もそう思っているだろう。」


槇「日輪刀の色が変わらなかったのが、千にとっては悔しかったかもしれん。しかし、これからは俺たちも握るのは木刀だろう。木刀になれば父も兄も千も…何も変わらん。」



槇寿郎が千寿郎に視線を落とすと、それは柔らかくて優しい表情をしていた。
千寿郎は大きな目にいっぱい涙を溜めて、うんうんと頷く。


千「以前泰葉さんにも言ってもらったんです。十人十色とあるように、煉獄家の者だろうと個性があると…。僕には僕に長けているものがあるのだと。」


槇「あぁ、そうだ。千は千のやりたい事を、どんどんやりなさい。それが俺たちの望みだ。」

「俺も杏寿郎も…刀を取り上げたら何が得意なんだろうな。俺は…利酒でもしてみるか!」


ハハハと笑う槇寿郎。


千「そ、それはお止めください!」

槇「む、冗談だ!もうお前たちには迷惑はかけまい。これからは嗜む程度にしておく。」



冗談だという言葉に、これほどの安堵を覚えたのは初めてな千寿郎であった。
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