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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第58章 逢瀬



杏「知っているか?要が雄だということを。」

「え、えぇ。…まさか。」

杏「要が取られるかの心配などしていない。
…君が要に取られないか、それが心配だ。」


まさか鴉にまで嫉妬しようとは…。

「もう、要に妬いてどうするの?」

泰葉が冗談でしょ、と笑いながら杏寿郎の腕をポンと軽く叩く。
杏寿郎の顔を見上げると、変わらず真面目な表情。

「…本当に?」

杏「言ったろう?煉獄家は正直な性分だと。」


じわりと杏寿郎の顔が近づく。
ドキドキと脈打っていると、鼻先同士を付けて杏寿郎は止まった。
どうしたのかと杏寿郎の目を見ると、ふっと目元が柔らかくなる。

杏「この角度で俺を見るときの泰葉さんが、堪らなく可愛らしい。」

そう呟いてちゅっと口付けた。

「っもう…!恥ずかしい…」

泰葉が顔を逸らそうとすると、杏寿郎は泰葉を自分の方に向けて両手で頬を挟み、それを阻む。
そのままちゅっちゅと啄むように口付けが降り注がれる。


「ん…」

泰葉から甘い吐息が漏れ始めたとき、杏寿郎の手が着物の帯に手をかける。
泰葉はこのまま流されてもいいか…と思いながら口付けを受け入れていると、ハッとして杏寿郎の手を掴んだ。


「きょ、今日は…だめですっ!」

杏「む⁉︎な、なぜ!」


杏寿郎は泰葉がなぜ止めたのか分からず戸惑った。
なんせ、朝から抱きたかったのだから。

初めて拒否されたに近い。
この一瞬のうちに色々な考えが巡る。


頻度が高すぎたか?
実は嫌だったか?
身体しか見ていないと思われたか?


ダラダラと冷や汗が流れ始めた。


「え…と、大丈夫?
あのね、その…今日から月のアレが始まってしまってね…」

月のアレ。
杏寿郎の頭の中に、ぐるぐると月のアレが回る。


しばらくして、やっと状況が理解できた。

杏「…月のアレか!大丈夫か?腹は痛まないか?」

「今は大丈夫。ときどきギューっと痛む時はあるけれど。」

杏「むぅ、痛んでいたのか。気づかずに申し訳なかった…」

しゅんと凛々しい眉が下がる。

「大丈夫、大したことはないから。」



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