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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第58章 逢瀬



夜、離れで泰葉は文机に向かう。

隣の奥さん…咲子に手紙を書いていたのだ。
会いたい旨を書き、封筒に入れた。
明日の朝、ポストに出しに行こう。

そう思っていると、バサッと縁側で羽音がする。


「あら、要?どうしたの?」

スリッと泰葉に寄ってくる要。
とても可愛らしい。


「もしかして、これを届けてくれるって?」

泰葉が封筒を要に見せると、コクンと頷く。

「ありがとう。でも、今回は封筒に入れてしまったのよ。だから…」

足には括れないと言おうとした時、要は封筒をバクっと嘴に咥える。
そして羽ばたこうと、また外に向かってぴょんぴょんと移動した。


「え、いまから?無理しなくてもいいのよ?」


すると、要は振り返り「無理なものか」と言っているようだ。
そして、バサッと羽を広げて、暗い空へと羽ばたいて行った。


「本当に賢くて優しい子…」


泰葉は要を見送りながら、ポツリと呟いた。


杏「要は本当に心優しい鴉だ。」

杏寿郎が泰葉の肩を抱き、星がちらつく空を見る。

杏「あの子は最終選別の時につけられたのだが、すぐに俺に順応してくれた。時には喧嘩もしたんだ。
いつもそばに居て、自分の行動を考えてくれる。ここまで立派な鴉はそうそう居ないだろう。」


要の話をする杏寿郎の目はとても優しい。
親友の話をするような、そんな目をしていた。
いや、現に親友なのだろう。


「苦楽を共にした素晴らしい相棒なのね。」

杏「うむ!…しかし、随分と泰葉さんに懐いているのだな。」

そう言って杏寿郎は泰葉を後ろから抱きしめた。
これはもしや、要を取られてしまうと嫉妬しているのだろうか。


「あなたの大切な要を取るなんてしないわ。
彼が私に懐くのは、杏寿郎さんといるからよ。」


くくっと笑っていると、ふぅ…と項に杏寿郎の息がかかる。


「…!!!」

ゾクゾクっと身体が震え、何をするのかと杏寿郎へ振り返れば熱を持った目とかち合う。

杏「…泰葉さん…」

泰葉の顎を持ち、グッと上を向かせる。


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