第7章 満月
あとから泰葉は、「ちなみに胡蝶も柱だ!」と、聞いて固まった。
(柱の人って、柱だって言わないんだ…!!!)
杏「しかし、竈門少年は君を送ったあと、みんなと帰って行ったのか?」
「はい。お茶でもと言ったのですが、走って帰るからと…」
杏寿郎はむぅ、と唸って首を傾げる。
「彼は顔を腫らして帰ってきたのだが…」
それを聞いて、ビクッと跳ねる槇寿郎。
それを見て、千寿郎が肩をすくめた。
千「父上、もうお話しになってはいかがですか、いつかは知られてしまいますよ。」
千寿郎の言葉に、杏寿郎と泰葉は槇寿郎を見る。
槇「竈門くんが顔を腫らしていたのは、俺のせいだ…。」
その言葉に2人は目を丸くした。
槇寿郎の話によると、
あの日、炭治郎は一人で煉獄家にやってきた。
門の前で掃き掃除をしていた千寿郎に挨拶をして、杏寿郎の近況を報告していた。
彼が訪れた目的は、炎柱ノ書について。
杏寿郎が、遺言のように伝えた言葉の中で、炎柱ノ書の中に、日の呼吸のことが書かれているかもと、言っていたのだ。
早く知りたかった炭治郎は、外出した際に寄ったのだという。
そこへ出てきたのが、槇寿郎。
その時も酔っていて、杏寿郎への暴言を吐いた後、
炭治郎の耳飾りを見て激昂したらしい。
その時殴ったせいで、炭治郎の顔は腫れていたそうだ。
しかし、杏寿郎への暴言が許せなかった炭治郎は、槇寿郎に頭突きをして気絶させられた。
槇「竈門くんの付けていた耳飾りは、始まりの呼吸を、使用していた剣士が付けていたものと同じだった。
炎柱ノ書にあったのを覚えていた。」
杏「よもや。あれは父上のせいだったのですか!!」
槇寿郎は明日、炭治郎に謝罪の文を飛ばすこととなった。
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泰葉は湯浴みをしている。
当主たちを差し置いて入れないと断ったが、客人であり、男たちが入った湯に入れられないと、押し切られてしまった。
よって、一番風呂である。
「なんだか、申し訳ない。」
煉獄家のお風呂はとても広い。
男女関係なかったら、4人一緒に入っても余裕だ。
…入らないけど。
ちょっと泳いでみちゃったり…
ばた脚はせずに腕だけですいーっと泳ぐ。
しかし、今日は色々あった。
街であったことが昔のようだ。