第55章 愛の形 ❇︎
泰葉は槇寿郎から、忠告を受けていた。
鬼殺から離れた時、死、恐怖、緊張、不安…沢山の負の感情から解放される。
そのせいで悪夢も見るだろうと。
実際に言われたことがなくとも、自分の中の後悔などが夢の中で責めてくるのだという。
槇「しばらくは眠る時は別の方が良いのでは…」
と言われたが、泰葉は首を振った。
「もし、そうなのなら、むしろ側にいます。」
槇「しかし…なかなか大変だぞ?危険もある。」
槇寿郎は自分にも経験のあることだから、なおさら心配だった。
それでも、側で支えると利かない泰葉に、小さな笛を持たせた。
槇「無理矢理抱こうとしたり、鬼と勘違いすることもあるかもしれん。
刀はとりあえず落ち着くまで俺が預かる。
しかし、命の危険を感じたならば、この笛を吹きなさい。
駆けつける。」
「分かりました。ありがとうございます。」
この笛の存在をこんなに意識しようとは…
そう思いながら、泰葉は杏寿郎を受け入れた。
酷く乱暴な手つき。
杏寿郎とは思えない。
「うぐ…ん…」
感じる…というより痛みに耐える、という方が近い表現かもしれない。
しばらく泰葉のナカを掻き回すと、杏寿郎は自分の昂りを褌から引き出した。
泰葉は自分でも分かった。
今は濡れていない。
挿れるのは無理だ…と。
それでもグッと押し当てられると、自然と蜜を出すそこ。
これは女性が身を守るために、自然と分泌する生理現象に過ぎなかった。
必要最低限の滑りの中、杏寿郎は無理に腰を進めてくる。
痛みを伴いながら、なんとか入った昂りを、欲のまま打ちつけてくる。
「うっ、い、いた…んんっ」
痛みに耐えるうち、泰葉の身体も順応せねばと分泌を増やし、痛みを消していってくれた。
人体は不思議なものだ。
杏寿郎はその後も欲のまま腰を振り続け、そろそろなのかな…と思った。
「杏寿郎さん、愛しているわ…。
貴方の、全てを…私も背負う。
一人で…抱えないでね。」
そう涙を流し、杏寿郎の寝巻きを引っ張り口付けた。
泰葉の愛情全てを注ぎ込むように。