第55章 愛の形 ❇︎
※少々無理矢理的な表現がありますので、嫌な方は732pへ。
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この幸せの前には、幾つもの試練があった。
鬼がいない世の中になり、鬼殺隊も解散した。
しかし、長年積み重ねた生活を一変させるのは容易ではなかった。
杏寿郎は夜、悪夢に魘されることがあった。
『どうしてもっと早く来てくれなかったの⁉︎』
『なんでうちの子が死ななくちゃならないんだ!!』
今まで救えなかった命、その家族たちが責め立てるのだ。
汗をかいて魘され起きる。
「大丈夫?」
杏「あ、あぁ。」
ある日、一度だけ杏寿郎が酷く落ち込む出来事が起きた。
その日も魘され苦しんでいた杏寿郎。
泰葉があまりにも辛そうだったため、起こしてやろうと声をかける。
「杏寿郎さん…杏寿郎さん…」
杏「うう…うん……ろ…やめ…ろ」
辛い夢を見ている。
泰葉はもう一度声をかける
「杏寿郎さ…んぐっ!!」
泰葉が声をかけ終わる時には、布団に押し倒されていて
首には杏寿郎の右手がかかる。
一体何が起きたのかと考えているうちに息苦しさを覚えた。
「き、杏寿郎…さっ…」
泰葉が必死に名前を呼ぶと、杏寿郎の手は首から離れ、浴衣の合わせにかかった。
そして、乱暴に左右に引っ張る。
「杏寿郎さん⁉︎どうしたの?ちょっと待って!」
泰葉が必死に抵抗しても敵うはずもない。
杏寿郎の顔を見ると、目は血走り、呼吸も荒い。額には沢山の汗。
それはいつもの杏寿郎とは別人のようだった。
浴衣から露になった泰葉の乳房に噛み付くように貪り、泰葉のことなどお構いなしのようだ。
「杏寿郎さんっ、痛い、やめてっ」
いつもなら、そんな風に言えば止めてくれる筈が、一向にその気配はない。
そして、泰葉の秘部にいきなり指を入れ掻き混ぜるように動かした。
「やっ、それは、本当にっ!」
これは杏寿郎じゃない。
悪夢から覚めることができず、もがいているんだ。
覚めるためにも
泰葉という存在を実感したい。
その気持ちを悟った泰葉は辛いが受け入れる事にする。
枕の下に隠していた小さな笛。
もし命に危険が起こりそうならば、それを鳴らして槇寿郎を呼ぶ。