第55章 愛の形 ❇︎
杏寿郎は泰葉の顎と首の境辺りをカプっと甘噛みする。
そして首筋を舐めながら所々に口付けをし、鎖骨へと到達した。
着物の帯を解くため、少し体を起こさせる。
杏寿郎に抱きしめられる状態になりながら、泰葉は自分の帯がシュルシュルと音を立てるのを不思議な気持ちで聞いていた。
(私ばかり…良くなってちゃ、ダメよね…)
黙って杏寿郎の肩に顔をつけていた泰葉は、横を向くと露になった杏寿郎の首に、自分がされたようにカプっと甘噛みした。
杏「!」
不意を突かれたのか、杏寿郎はピクンと身体を跳ねさせる。
その後も泰葉は首筋を舐めたり、以前弱いと分かった項に指を這わせたりした。
杏「ん…、随分と…積極的だな?」
どうやら杏寿郎も感じてくれているようだ。
泰葉は少し嬉しくなって、ちゅっちゅと口付けたりを続けた。
少しして、パサリと音を立てた頃にはいつの間にか一糸纏わぬ姿となっていた。
杏寿郎への愛撫に夢中になって、脱がされるのにも気づいていなかったようだ。
「あ、あれ?」
杏「その集中力に恐れ入るが、あっという間にそんな姿にされたのにも気付かないとは…些か心配になるな。」
苦笑いする杏寿郎。
そんな彼もいつの間にか一糸纏わぬ姿。
杏寿郎は泰葉を押し倒しながら、また覆い被さるような形になる。
杏「頼むから、俺以外の男に…「その前に、杏寿郎さん以外に私を脱がす人なんていないわよ。」
泰葉が困ったように杏寿郎の言葉を止める。
すると、杏寿郎はパチパチと瞬きをして「それもそうだ」と軽く笑った。
そして、また口付けを交わす。
だんだんと深く、口吸いに変わり…。
杏寿郎の手は泰葉の輪郭、首、肩、腕と降りてきて、脇の下から骨盤までの身体の形をなぞる。
「ん、んん…」
少しくすぐったく、身を捩る。
泰葉もお返しにと杏寿郎の骨盤あたりを撫でた。
腹には杏寿郎の硬いモノがグイグイと押し当てられる。
泰葉は足を開き、杏寿郎を両足の間に招き入れた。
そして、少し腰を浮かし杏寿郎の苦しそうな昂りを泰葉の秘部に案内しようとする。
杏「…!泰葉、待て、待ってくれ!」
泰葉らしからぬ性急な行動に、杏寿郎が待ったをかけた。