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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第55章 愛の形  ❇︎



杏寿郎の温かな大きな手に包まれれば、不思議な安心感と高揚感…少しの眠気。
思考を止めてしまう、何かの術にかかったようだ。


「杏寿郎さん、大変。いろんな気持ちと一緒に、眠気まで紛れてる。」

杏「む?それはいかんな。こちらは寝かせる気はないのだが。」

そう言うと、杏寿郎はちゅっと泰葉の額に唇を落とす。


杏「本当はこれから布団を敷きたいところだが…。眠ってしまいそうならば、先にその気に火をつけておかなくてはならないな。」

「それは…んっ…」


もう火は燻り始めていると伝えたかったが、泰葉の言葉は杏寿郎の唇によって消された。

ちゅ…、ちゅ…、と音を立てながら何度も啄まれる。
角度を変えながら、時折杏寿郎の鼻から漏れ出す息が泰葉の頬を掠めていく。

その息がだんだん荒くなってきた時、
啄むような口付けから、あむっと甘噛み混じりなものに変わってきた。


「ん…んむ…はっ、ん…」

杏寿郎の口付けにはいつも翻弄されっぱなし。
時々、本当に自分以外と経験がなかったのか、疑いたくなる。


うっすらと目を開けてみると、目力の強い瞳は閉じられ、夢中になっている杏寿郎。
そんな彼が愛しかった。

泰葉は杏寿郎の短く柔い髪を両手でくしゃっと掴む。
杏寿郎がそれをもっとと捉えたのか、口付けは口吸いと呼ばれるものに変わった。


「んん…はっ…んん!」

ヌルッと入り込んできた舌は泰葉の口内を一周し、歯列をなぞったり、上顎を舌先でこちょこちょと悪戯をする。

「んあ…やっ…はっ…」


それが擽ったくて、泰葉は口を開けて杏寿郎から逃げようと身体を反らせる。
しかし、なかなか解放してくれない杏寿郎。
そのまま畳の上に倒れる形になってしまった。


トサッ…



月明かりに照らされる杏寿郎は何とも言えぬ美しさ。

それを思うのは杏寿郎も同じだった。

自分に組み敷かれた様な体勢で、2人で感じ合う口付けに上下する肩と胸元。
紅潮する頬に潤んだ瞳。
畳に控えめに広がる短い髪。


杏「綺麗だ。」

「え…?」

杏「昨夜も言ったが、最近の泰葉さんはどんどん美しく、可愛さも増している。
それは…俺のせいだと…」


「言って欲しい」



そう耳元で囁かれ、ズクンと子宮が反応したのが分かった。





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